読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

1. 『メイドインアビス』1~11巻 子ども達と未知なる大穴に魅了される

「気になるけど他にも買いたい本があるし、今すぐじゃなくてもいいか」

 もしくは、

「詳細は知らないけど読み始めれば、絶対続きを読みたくなるから1巻も読まないぞ」

 

 そう思って買ってない本が山ほどある。今回読んだのは後者だ。

 

 

メイドインアビス(1) (バンブーコミックス)

 

 

 半年ほど前に1から4巻まで買ったはいいものの、一度読み出せばお金を無視して出ている続刊全て買ってしまう。だから本棚の下方にしまって触らなかった。

 

 悪い予感は的中した。手持無沙汰になって本棚から手に取ったら最後、圧倒的な世界観に引き込まれ、すぐさま5巻以降を購入していった。

 

 発行間隔は年一、現在単行本が出ている11巻まではアニメ化された人気作。漫画もアニメも未視聴だが名前だけは知っている、という人も多いだろう。私もそうだった。

 

 持論であり一般論でもあると思うが、アニメ化されているなら原作の面白さは一定以上保障されている。まれに例外はあるが、私もよく新しく漫画を買う時の参考にする。

 

 

 ざっくり内容をまとめると、

世界中が踏破されつくした中、唯一その全貌が把握できない果てしない大穴”アビス”を探検する人々の物語

になる。

 

 アビス内は独自の環境と生態系で構成され、地上とは別世界と言っていい。地下に降りれば降りるほど上がるときの負荷が酷くなり最悪死んでしまう。危険な動植物も多いアビスに挑む探掘家たちは数々の有用な遺物を引き上げ、周囲に住む人々はそれらの恩恵で生活している。

 

 細部までこだわった世界観と作りこまれた設定が最大の魅力だと思う。アビス内で見つかる古代言語の設定は考えるのが好きじゃないと作れない。

 

 

 もう一つの魅力は可愛らしいキャラと対比的なストーリー展開だ。

 

 単行本の表紙を見ると幼い外見の少女や少年ばかり。何しろ主人公が12歳なのだからメインキャラが子どもでも不思議ではない。

 

 とはいえ子供だけが登場人物でもなく大人も多く登場するし、子どもサイズの獣人もメインの一人である(結局子ども)。

 

 しかしこれらは『メイドインアビス』の大きな特徴でもある。とにかくロリキャラとケモノキャラなのだ。

作者のつくしあきひと先生はおそらくロr……

 

 

 そしてストーリーだが、とにかく過酷&苛烈&凄惨な展開である。ネタバレはしたくないので詳細は省くが、胸が痛くなるシーンは数知れない。アビスの果てを目指す主人公たちを待ち受けるのはロマンや情熱だけでは越えられない高き壁なのである。

 

 それでも決して諦めない。深淵を目指すと決めたその時から既に地上に生還するのは絶望的だと知っているから。覚悟は固く折れない心と仲間を頼りに、どんな犠牲を払ってでも目的を達成する――

 

 

 見た目と中身のギャップがすごい。そこらの大人よりはるかに精神年齢が年食っている。地上で何事もなく生きる幸せがある一方、己の好奇心に任せて突き進むことの大切さを感じさせてくれる。

 

 

 

 ぶっちゃければ私はメインキャラのデザインを知っていたから少し倦厭していた。別に創作物で子どもや外見が幼い大人キャラが出ていても文句もないし、むしろ作者の自由に登場させて面白いなら何でもOKの立場である。ただ自分の趣味とは違うので読まずにいた。

 

 結果として、それは無駄な読まず嫌いだった。

 

 とにかく面白いのだ。主人公のリコやレグ、ナナチにも当然愛着が湧く。残酷な世界に希望を見出し前へ前へ(下へ下へ)歩みを止めない彼女らには勇気をもらえる。

 

 小さな体に秘められたとてつもないパワーはいつまでも溢れている。

 

 

 

 今年の個人的マンガランキングTop10間違いなし。素晴らしい作品と出会えた。

 

 

 

 12巻の発売はおそらく来年9月ごろ。先が気になって気になって仕方ないけれど、それまでは未視聴のアニメ1,2クールと間の劇場版を見て過ごそうと思う。