読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

6. 『イキ死ニ 令和少女狂奇譚』 奇抜な発想の狂気ホラー

 ホラーにも様々なジャンルがある。

 

 心霊、都市伝説、サイコ、殺人鬼、SF……

 

 それぞれに良さがあり面白さがあって、好みは人による。私はどれも好きなので色々読む。有名作すらまだまだ未読が多いのに、未知の作者の、未知の作品を読みたい欲が沸々と沸いてしまう。

 

 こればっかりは治りそうにない癖である。

 

 

イキ死ニ 令和少女狂奇譚 (ビームコミックス)

 

 

 作者のセガワM(鯖オーケストラ)先生は初めて読む。知ったのもこの漫画がきっかけだ。例のごとくサイトのオススメ欄で見かけて購入した。

 

 

 内容に触れると性的な要素が多いので苦手な人はブラウザバックをお願いしたい。

 

 

 

 

 主人公の少女は男好きの母親を心底嫌悪しており、それが原因で家を飛び出し友人とともに日銭を稼いでその日暮らしをしていた。

 しかし突然の友人の不審死、母親の借金の肩代わりでサラ金に追われる身となる。

 

 逃げ込んだ高架下でホームレスの老人と出会い、彼の言葉を半信半疑のまま赤い張り紙の二次元コードを読み込んだ。開かれたサイトには『生き物係の仕事、拘束時間3日で30万』という高額報酬が書かれていた。何としても金の欲しかった主人公は覚悟を決めて指定場所へ向かう……

 

 貧困や売春などの社会問題をベースに、狂気を孕んだ謎の仕事に従事していく主人公を襲うのは正体不明の化け物。それが何なのか、わからないまま話は進む。

 

 一つ目の仕事を終えた後、主人公は強烈な欲情に苛まれる。下腹部の違和感と恍惚は抑えがたく手が伸びるが、背後から「自慰したら死ぬよ」と声が聞こえる。

 この言葉が最後まで主人公を苦しめる。

 

 

 性と怪奇を混ぜたアイデアは面白く先の展開も読めない。

 新鮮味があって最後まで読めたが、オチは難解だった。扱うテーマがどれも重たいものである分、一巻完結ではなくもっと話数を追加して主人公の感情描写やその化け物や仕事についての説明があると、より深く話を理解でき読後感もよくなった気がする。

 

 ただ、読者に単なる恐怖のみでない奇妙な感覚を芽生えさせるという意味では現状のままの方が効果的に思える。

 

 総じて面白い漫画であった。