読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

8. 『リバーシブルマン』1~3巻 超猟奇的死体とその謎を追う人々

 わざとではないがホラーやグロい漫画が続いている。

 

 色んなジャンルを読むタイプではあるけど、今はたまたまホラー系がマイブームになってるからこうなってしまった。

 同じジャンルの色んな作品を読んで読み比べたい意識が働いてるのかもしれない。

 

 というわけで今回はヤバい死に方をする漫画である。

 

 

リバーシブルマン(1) (ニチブンコミックス)

 

 

 

 まるで身体が裏返っているような死体が連続して見つかる。報道では連続変死体と言われているがネット上ではその常軌を逸した死に方から尾ひれのついた都市伝説が呟かれていた。”ウラガエリ”と呼ばれる死体の成り損ないがいて街をうろついている、なんて噂すら流れていた。

 

 一方変死体が見つかりだした同時期、暴走した一般人の凶悪犯罪が増えていた。ヤ〇ザのシマでも平気な顔して犯罪を行うチンピラが増えたりと、彼らもこの異常事態に気づき対策に苦慮していた。

 

 その最中に謎の薬袋を知る人物を追う女子高生と出会う。彼女はある人を探して復讐するためだけに生きており、彼女もまた”ウラガエリ”になりかけている一人だった。

 

 

 女子高生とヤクザの物語から始まるストーリーで、謎の変死体がカギとなる。

 

 なぜ人が裏返るのか、女子高生が追う謎とは?

 変死体を巡って人の欲望が渦巻くサイコ・クライム・サスペンスホラーという要素てんこ盛りな話である。

 

 

 数話の連続した一つの話が繋がっていく構成で、話の中心になる人物はそのたびに変る。通しで出てくるのは主人公のヤクザだ。他にも藪医者や警部など何人かは度々登場する。

 

 青年誌らしい強めの筆致と制限の少ない自由な描写を活かした残酷な話――なのだが、慣れている人にとってはそこまでグロくないかもしれない内臓や拷問的シーンも多々あるため、あくまで慣れている人限定だが……

 

 作中に出てくるいくつかは実際の凶悪事件をモデルにしていると思われるため事件を知っているとより重苦しくなってしまう。

 取り入れられてるテーマや作者ナカタニD.先生の意図も現実社会とリンクした深刻な問題提起となっていて考えさせられる。

 

 

 しかし意外と読後感は悪くない。なんとも不思議である。

 

 ひとえにそれは主人公たちの心の強さにあると思う。

 残酷な経験や絶体絶命の場面でも諦めない姿勢と覚悟が人として生きることの大切さを強く訴える。詳しくはネタバレになるため書かないが、これは物語の重要なテーマでもある。読者は彼らを支えにして読み進められる安心感があるのだ。

 

 物語が進んで徐々に謎が明らかになると、”ウラガエリ”がただの変死体ではないとわかる。その裏に潜む人や組織の影も見えてきて展開は加速していく。

 

 ページをめくる手が止まらない。面白い。

 

 

 今も連載中らしく続刊が現在5巻まで出ている。

 

 ペースはやや遅いがその分続きに期待が膨らむ。