読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

14. 『ドキュンサーガ』4巻 約3巻分の回想が終わり物語は新たな展開へ

 週刊連載か月間連載か、はたまた不定期連載かによって単行本の発売スピードも比例する。

 早ければ3か月に一巻、遅ければ年一巻かそれ以上。

 

 楽しみにしていればしているほど、たとえ3か月でも待ちきれない。

 

 

ドキュンサーガ コミック 1-4巻セット

 

 

ドキュンサーガ』は壮大なファンタジー作品だ。

 魔族と敵対する人間の王国は強大な力を持つ魔族に苦戦を強いられる一方だった。王の息子=勇者は圧倒的な強さを持ち人間界最強なのだが、性格のクズっぷりと素行の悪さを混ぜ込んだ自尊心の塊のような人物で扱いに困り果てていた。勇者は魔王が眠るとされる敵本陣に向かうことになるが、魔族たちは勇者の余りの強さと品のなさに絶望し……

 

 勇者と最強の魔王という流行りの異世界ものにも通ずる古典的王道ファンタジーのようで切り口は非常に新しい。とにかく嫌な性格なのに絶望的強さの勇者とそれと同等かそれ以上の実力を持つ魔王のバトル、一時休戦、そして明かされる魔王の過去は何故人類と魔族の争いが起きたのかに

 

 元々作者のいとまん先生のHP上で一部無料公開しているもので、それをベースに連載している漫画である。現在4巻まで出ており、なんと1巻終わり~4巻の始めあたりまで回想シーン、さらに4巻終盤も別キャラの回想という珍しい構成だ。

 ただこの回想による世界の成り立ちと過去から現在までの繋がりが分からないと話を先に進められなかったのだろう。

 過去の話が面白いので回想の長さは特に気にはならない。

 

 ……嘘だ、さすがに「長いなあ」とは思っていた。しかしその分「なるほどそういうことか」となれるので踏ん張って乗り越えて欲しい。

 

 

 さて、私は単行本発売前から先生のことは知っていた。

 というのも、作者のHPを知っていたからに過ぎないのだがHPを知った経緯は少し特殊だった。

 

 

 ”検索してはいけない言葉”と言うものがある。古くは”ググってはいけない”とも呼ばれたが、文字通り「検索すると何らかの後悔する要素を含むキーワード」の総称でwikiもある。

 その中の一つに”あういえお”という言葉があるのだが、単なる五十音表のあ行ではない。よく見ればわかるが「い」と「う」が入れ替わっている。あえての配置なのだが、検索して出てくるサイトを見ると「よいこの あういえお作文」と題字されたページが出る。下にはテンプレな博士と少年少女のイラスト、そして一部がクリック可能な五十音表とが置かれたページが表示される。

 博士いわく、

ここはよいこのみんながひらがなを身近(みぢか)なものを通して覚えられたらいいな、という目的(もくてき)でつくられたホームページじゃ

 とのこと。

 

 だが五十音表のどれでもいいからクリックしたらすぐにわかる。やけに良い画質の美しい色彩で描かれた様々な死とグロテスクなイラストしか掲載していない。ぱっと見子供向けに作られたこのサイトはジョークで済まないジョークサイトである。

 まさか実際に引っかかる人はいないと思うが、正しく「あいうえお」と検索(Bing)しても1ページ目に出てくるので注意してほしい。

 あういえお内のイラストは全てR18相当なので、決してお子様は見ないように! 苦手な人はワード検索・画像検索もお勧めしない。

 気になる人はぜひともご自身の目で見て欲しい。作品完成度はいずれも高いと思う。

 

 

 

 紹介したのにお勧めしないのもおかしいが注意書きはこのあたりにしておこう。

 なお私はいとまん先生の作風も画風も好きであることを今更ながら断っておこう。

 

 実はこの「あういえお」はHP内の一コンテンツであり、ページ上部の「Index」からはメインページ「ハサマ」に飛び、仕事履歴や漫画やイラストなどのコンテンツに移動できる。

 無料公開されているオリジナル漫画は未完作含め10作以上読める。Web版ドキュンサーガも10話まで公開されているのでぜひ。

 

 とはいえこれらの漫画の内容もイラストもなかなか血の多い過激な描写が目立つ。特にイラストはカラーなので、先生の艶やかで生々しい画風と相まって苦手な人にはクリーンヒットしてしまうだろう。だが個人的にはカラー画の方が好きである。漫画も短編で読みやすく飽きにくくて興味深い

 

 

 単行本は1、2巻同時発売から3、4巻と等間隔ではない発売スピードだ。

 

 次がいつかと気長に待ちつつ、たまにHPを見に行きたい。