35. 『スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティ』1巻 欲と怪異に襲われる大学生活へようこそ
初見の作品がお気に入りになるとその後も作者を追いかけてしまうのはオタクあるあるだと思う。
そうやって追いかける作品数も続々増えていくわけだが、前作から時が経つと私の場合積極的に調べるタイプではないのでふとした時に
「あれ、あの先生今何やってるんだろう?」となることがしばしば。
そして偶然的に次回作と巡り合ったとき、グッと感情が湧いてきて歓喜する。
気づけば買い物カゴへ入れてしまう。
ここに書く漫画の中でも発売からの時間は過去最速だ。
11月4日発売の永椎晃平先生の最新作
『スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティ』
とても長いタイトル、キャンパスとカレッジとユニバーシティはいずれも大学を意味して使われる言葉で被ってるような気もしないでもないが、そっと横に置いておこう。
永椎先生の作品は『星野、目をつぶって。』が初見だった。まだ3巻くらいの頃に表紙買いだったと記憶しているが、学生の心理描写にリアルさを感じた良作だった。アニメ化しないまま完結したのには驚いたくらいだ。
甘酸っぱさとわずかな苦みのラブコメと打って変わって本作は「スケアリー」の名の通りホラーである。
大学入学したての主人公(表紙女性)は花の大学生活に夢を持ち、よからぬ噂の立つチャラめのサークルに入った。そこで出会ったイケメンの3年生と共に歓迎会を抜け出し連れていかれたのは怪しい噂の廃墟だった。先輩は幽霊好きな変わり者だったが浮かれた主人公は気にしなかった。しかしその日以降、おかしなものが見えるように……
ここだけの話、読書前の期待値はさほど高くなかった。
というのも、たまたま目にした宣伝広告や単行本帯の書き方がお色気要素を強調した内容だったからだ。
ホラー映画の古典からして創作上の恐怖とセクシーは切っても切り離せない関係だ。洋画なら女性の入浴シーンがマストだし邦画でも主人公は大抵若い女性である。映画に関してはさすがに慣れているが、「ホラーマンガにサービスシーンはない方がいい」と私は感じている。
そのため裸で釣るような宣伝の仕方にいささか疑問を持っていたし内容もホラーというよりそっちよりなのかと思っていた。
私の勘違いだった。確かに所々にサービスシーンはあるが必要以上に描かれてはいないしホラー色強い作品に仕上がっていた。ゆるふわな主人公と対照的にガッツリ怖い霊や怪異描写は作者の新境地に思えた。こんな絵も描けるのかと驚き嬉しかった。
主人公を助ける謎多き男のキャラもいい。余計な性格がなく強面な見た目とギャップある誠実で依頼者想いな面は好感が持てる。ホラー・怪異系の王道、男女コンビの物語として完成度も高い。大学という環境・自由度の高い学生という立場など題材を活かしたホラーネタは斬新で霊の払い方も興味深い。
あらゆる要素で好みど真ん中だった。
これはホラー良作間違いない。続きは当然買いで決まりだ。