38. 『バンバンドリドリ』4巻完結 無二の漫画家が描く公式二次創作4コマ辞書
以前、ネット出身の漫画家作品を取り上げたが今回もその一人。
何でもありではないが誌面より自由な表現空間であるネット上で生まれた我流の才能たちは個が際立った存在である。
だからこそ普通の漫画では得られない魅力にあふれているのだろう。
ニャロメロン先生と言えば10年近く前から一部ネット界隈で知られた存在だった――と思う。
自作4コママンガを自主HP上で発表しており(数年更新停止している)、それが話題となって単行本も2本発売されている。(『メロンコリニスタ』シリーズ)
作者は”言葉遊び”を得意とした4コマ漫画家だ。また各4コマの題名を始めではなく終わりに書くという独自の手法を活かした作りになっている。この題名がオチネタとしても機能しており、ある意味5コマ目の役割を果たしているとも言える。
本作はそんな奇才作者がブシロードのメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』と手を組んだ公式二次創作マンガである。登場キャラは主に原作の主人公バンド、ストーリーはバンドリほぼ未プレイなので不確かだが、恐らく原作をベースにアレンジしている。
内容はシュールギャグマンガであり、原作のガチファンが見たら発狂するくらいキャラ改変著しい。
勘違いしないでほしいのは公式のマンガなのでネタ許可済みである点だ。だから何の問題もない?はず。
第一面白いのだから改変など些末な問題だろう。たとえ首や体がねじ曲がったり大好物がなくなると獣化したり常に天井に張り付いていたり時空も物理法則も無視していたとしてもあくまでギャグマンガ世界だけの話なので大丈夫なのだ。
本作のもう一つの特色は辞書要素である。
これだけ聞いてもまったく意味不明だろうが間違っていない。
このマンガは辞書なのだ。
本作は4コマ形式で1ページに一本、つまり見開きで2本のマンガが載っている。大判コミックサイズなら普通は1ページに最低2本、多いと4本の4コママンガが載る。では余ったスペースはただの空白なのか? そう、そこが正に辞書機能を果たしているのだ。
そのページの4コマ内で扱われた言葉を一つないし二つピックアップして正式な辞書と同じ文章形で単語解説を掲載している。
これが意外と勉強になる。
「なぜ辞書機能が?」などと野暮なことを言ってはいけない。ネタとして学習として楽しめばいい。
発売の度に楽しませてもらった本作も先日発売の4巻で完結となった。特殊な作りのため継続して執筆する労力がかかるのだろう。人気がなくなった可能性もあるが……
次の連載作を気長に待つとする。