読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

43. 『てるみな』1~4巻 ネコミミ少女が行く夢幻列車旅

 盛夏を過ぎコロナ禍がようやく落ち着きを見せ始めて国内外の旅行をしやすくなったと思ったらあっという間にやんわりと自粛ムードが広がりだした現在。

 

 とはいえ昨年、一昨年とは異なり皆の考え方も変化してきて「慣れ」が定着してきたこともあり、忘年会は中止しても年末年始の旅行・帰省はしようと考える人も少なくないだろう。

 

 

 遠くへ旅行に行くなら車より新幹線、飛行機が主流かもしれないが各地の電車も捨てがたい。

 

 

 

てるみな 1 (楽園コミックス)

 

 電車と言えば以前書いた『ぱらのま』という作品が実在の路線と土地を舞台にした一人旅マンガだった。

 

natu-comic.hatenablog.com

 

 今回は同じkashmir先生の連載作『てるみな』について書こう。

 

『ぱらのま』との同時連載作であり、同じく電車をメインテーマにしたマンガなのだが大きく異なる点がある。本作は非実在路線の話を書いている。

 

 ある日猫耳が生えてきた電車好き少女が実際の路線や土地をモデルにした電車に乗り目的地に向かう話だ。ゆりかもめ常磐線京王線などの各鉄道路線、高尾山、秩父、成田空港、お台場など東京を中心とした関東近辺がよく使われている。

 

 話はどことなくラーチチックなものが多い。よくわからない世界に連れていかれたり、迷い込んだり、死にかけたりするが少女が死んでしまうオチはない一話完結なので安心。ちなみに狐の少女など一部のキャラはその後もたびたび登場したりする。

 

 閑話休題にはマニアックな電車小話がたくさんある。車両や路線の種類、ホームの形、時刻表ネタ、架空鉄道会社の妄想方法など。某タ〇リ倶楽部の鉄道回を彷彿とさせる玄人向けな解説の数々は思わず「へぇ~」と心の中で呟いてしまう。

 また話に登場した路線や電車などに関するコラムが丸々1ページついている。これもリアルとマンガに則した内容で読み応えあり。

 

 私は『ぱらのま』の前に本作を読んで面白かったので他作品も……という流れだった。ジャンルを決めるなら電車SFだろうか。虚実織り交ぜて創作された話はオリジナリティ溢れる視点で描かれ、時折見えるダークな世界観をほんわかした雰囲気で包み込んでいるおかげで後味すっきりな作品になっている。

 

 

 

 2作連載の関係で発刊間隔が長いため来年発売されるかどうかわからない。

 

 

 再読をして、もう少し電車について造詣を深めないといけない。