79. 『放課後ていぼう日誌』10巻 伍島合宿編完結といつもの堤防
冬はアウトドアには厳しい季節。
『ゆるキャン△』に影響されて冬キャンプを始めた人も多いらしいが、私は虫も好きだし寒い方が嫌なので夏が待ち遠しい。
作中の夏を見ていると遠い海と山の音が聞こえるような気がする。
一部ネタバレあり
小坂泰之先生の『放課後ていぼう日誌』の最新刊を読んだ。
本巻で作中最長だった伍島合宿編がとうとう終わりを迎えた。
思えば合宿費用を稼ぐための海の家バイトから始まり、元ていぼう部部長と出会って、サワラを釣ったりクエを狙ったり、初の夜釣りに挑戦して主人公の成長がよく出てきた5日間だった。
4日目から最終日にかけてのサバイバルキャンプ。舞台は海から山へ移り昼食にカレーを作ることに。しかし食材から目を離した隙をついてトビが肉を奪っていってしまった。肉の代わりを求めて元部長・湯浦が採ってきたのは――アオダイショウとウシガエルだった……
しかし、ひな=主人公含め他の部員も嫌がったため2匹は山にお帰り頂いた。
私個人としてはヘビとカエルを食べる展開も全然ありだったと思うが、まあ一般的に忌避される食材なので自然な流れだと思う。
今回のメインは主人公初体験の川釣り。
狙うのは鰻と鮎。ただ大勢だと警戒されてしまうため一年生コンビは湯浦と共に下流で鰻の仕掛けを、先輩2人は上流でアユ釣りを行う。
鰻の仕掛けは割と簡素。糸をつけた数センチ大の木板を岸の石に引っ掛けておくだけ。ただし餌の小魚を釣るために川虫=カワゲラ等の幼虫を捕まえなければならない。
餌確保の後、小魚が足りない分を補うため湯浦はささっと落ち葉の下からカンタロウミミズ(シーボルトミミズ)という巨大ミミズを捕ってくる。虫嫌いな主人公には発狂ものだが、夏海は湯浦を真似て針にミミズをつける。
一方黒岩・大野の先輩コンビはアユがいそうなポイントを探る。
アユ釣りと言えば「友釣り」がメジャーだが今回は餌釣り。川虫を針につけ当たりを探る。
結果として鰻・鮎ともに釣ることができたが、現実世界で忘れてはいけないのが
「遊漁券」
河川の釣り、上記の魚以外にもマスなど食用にされるような魚介類は一般人が自由に捕獲してはいけない決まりがある。釣りするためにはこの遊漁券を買って指定の範囲内で行わなければならない。破れば当然罰則がある。ちなみに海でも、アサリ・ハマグリ・カキ・アワビなどの貝類やタコ・ナマコ・ウニなどは勝手に採ってはいけない。
作中でも釣りを終えた後で黒岩部長から指摘があり、湯浦が慌てて確認していたがこの島では河川は管轄外とのことでセーフだった。
ルールを守らない者に釣りを楽しむ資格はない。
他の趣味や娯楽と同じく、他者が迷惑を被るような行動は絶対にしてはいけない。この辺りの配慮がごく自然な流れで登場するのはさすがだと思った。
その後最後まで合宿を満喫したていぼう部一行は湯浦と民宿の女将さんに別れを告げて地元に帰還した。
翌日は道具の後片付けを済ませると、島で使わなかった自作のストロー製エビ型ルアーを使いコウイカを狙った。
夏の特別な経験をした主人公は一段と釣りの奥深さにハマっていく……
珍しく本編内容を滔々と語ってしまったが、同作2回目以降の記事を書くとなるとこの結果は仕方ない。なにせ全体のあらすじは以前に書いてしまっているから。新巻の内容に触れなければ何も書けない。
それなりに漫画を紹介していれば続刊を取り上げる頻度も上がる。目新しさは減るかもしれないが、これも記憶を留め整理する作業なのでご容赦を。