読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

17. 『螺旋人同時上映 速水螺旋人短編集』 戦争+ファンタジーの短編漫画群

 短編集の魅力とはなんだろう。

 

 私は作者の個性と趣味嗜好がわかるもの点だと思う。一話ごとの繋がりを意識しなければいけない長編と比べて、作品のテーマ設定から自由度が高く好きなように描ける。

 

 特に初めて読む作者の時、短編集を手に取れば自分の好みと作者の好みが合うかがわかる気がする。

 

 

 

螺旋人同時上映 速水螺旋人短編集 (イブニングコミックス)

 

 

 速水螺旋人先生の作品は本作が初めてだ。ペンネームがとてもカッコいい。

 

 少し前に別作品の存在を知ってそのうち買おうと思っていたら、たまたま本作が手に入ったため順番が替わった。

 

 中身の漫画はいずれも軍が関係する話だった。

 1話目から3話目は続きもので、代書屋をする大学生の話は個人的に一番好きだ。

 

 他にも劣勢の部隊の元へ女神が出現する話龍を呼ぶ研究をする博士の話もよかった。総じて全話が面白かった。

 

 

 軍や戦争ものとなれば悲壮感溢れる話だったり酷烈な展開になりがちだが、それらの短編はスッキリした読後感を味わえる。

 

 キャラの掛け合いも堅苦しくなく受け入れやすい。愛着も沸きやすいので読んで物語を進めるのが楽しくなる。柔らかめの絵柄も相まってスルスルと読める

 

 

 今年だけで10冊以上は様々な作者の短編集を読んできたがどれも当たりだった。全員が私とは見ている世界が全く違うんだと実感し、不思議に思った。

 

 同じ国で暮らしているのに趣向も生活スタイルも違う彼らの創り出した一つ一つの世界は、ありえないようで確かに絵と文字の中に息づいている。

 

 

 

 作者の他作品にも期待している。