読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

83. 『アナーキー・イン・ザ・JK』 無秩序な会話が一度きりの青春を形作る

 青春に良いイメージがあるかは人それぞれだろう。部活や友情を育んだ人と人と関わるのが苦手で鬱屈した日々を過ごした人もいる。

 

 周囲全てを無視して熱中できるものがあれば別として、学生時代の思い出とはどんな友人がいたかに左右されると思う。

 

 良い相互作用を与えられる関係さえあれば、余計なものはいらないのだ。

 

 

 

 

アナーキー・イン・ザ・JK (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

 位置原光Z先生のアナーキー・イン・ザ・JK』青春群像劇”風”コメディだ。

 

 連作を含むオムニバス形式の短編集で、作者の初商業作品でもある。

 

 恋愛下ネタのコメディ。

 作者の原点的作品で、のちの数多の短編に繋がっている。表紙の2人が出てくる連作はJK4人の日常もの。変態な兄を持つ眼帯、欲情するとお尻が発光する奴、3頭身のぽっちゃり、一つ目でムッツリの真面目の4人がコミカルな日々を送る。

 

 他にもマンネリ解消のために様々な物品を形態模写で擬人化していくカップセックス・ピストルズとアレを勘違いしている話など、どこかのネジが抜けてるような個性が光るキャラが大勢出てくる。

 

 

 この手のコメディが好きな人なら丁度いい塩梅の下レベルだと思う。苦手な人でも許容レベルではないだろうか。

 ボケとツッコミの2人が基本形だが、ツッコミ側がたじろぎ狼狽えながらも本気で嫌がってない、仲睦まじいからこそできる会話なのが良い

 

 

 ちなみにタイトルのアナーキー・イン・ザ・JK」とは、作中で言及されているがどうやらセックスピストルズの「アナーキー・イン・ザ・U.K.」から来ているらしい。作者が好きなんだろう。

 

 趣味を如何に作品に反映させるか。多くの作者は自分が詳しくて好きな領域を組み込んでいきたいと思ってるはず。描きたい話と趣味が合致して、かつ創作センスが高ければ趣味をテーマにして面白い話できる。まぁ容易なことではないが……。

 作品丸ごとではなく、小ネタやキャラクターなど部分部分に上手に盛り込めば深みが出て世界観がぐっと広くなる。欲張ってあれこれ我を、知識を入れたくなるが無茶は禁物ということだ。

 

 私も作者を見習って、笑える会話を書けるようになりたい。味あるキャラに似合うセリフをしゃべらせられるように今日もマンガを読もう。