26. 『モンスター娘の殺し屋さん』1, 2巻完結 ポップなモン娘たちに翻弄される女子高生アサシン
表紙買いしてしまう作品には共通する特徴がある。
限られた情報から買うか買わないかを判断するわけだが、根拠となるのは間違いなく表紙の絵である。
シンプルでゆるい絵やキャラデザインは高確率で欲しくなる。
ほぼ確実に気兼ねなく読める内容だからだ。
ロルフ先生の『モンスター娘の殺し屋さん』は全2巻。
表紙左のナイフを持つ少女が主人公であり殺し屋。上司から街に潜むモンスター娘の暗殺を依頼されるが人間とは大きく異なる特徴をもつ彼女たちに翻弄されるコメディである。
一話完結で巻数も少ないため気軽に読めるのがいい。そして登場する様々なモンスター娘が可愛いことこの上ない。ちびキャラ的デザインで愛らしいので殺し屋という物騒ワードも気にならない。
各種族の特徴を活かした話作りは苦労したのではないだろうか。人と人の話には無い非現実的な展開が殺し屋さんを依頼達成を苦しめるのが面白い。
数年前からマンガ・アニメ・ゲーム等で異種族=モンスター×人を扱う作品が増えてきた気がする。
私個人の印象としてはターゲットが男性の作品に多い。『モンスター娘のいる日常』や極端な作品だと『異種族レヴュアーズ』などがある。
増加の理由の一つは『けものフレンズ』の流行でごく一部にいたケモナー(獣人キャラを好きな人のこと)が増えて界隈に広まったこと。またジャンルとしてすっかり確立した”異世界モノ”の流行もエルフ、妖精、獣人、サキュバスなどいわゆる人外キャラがファンタジー種族の一般化に貢献したといえる。
つまりサブカル界隈にいる人々がそれら作品を通して各種人外キャラへの共通概念を持つようになり相互作用で作品数もファンも増えていったと考えられる。
それを踏まえて本作を見ると、毎話ごとに異なる種族のモン娘たちが登場しているが私はどの種族も他作品で見たことがあった。それだけ多種の人外キャラが複数作品に登場しているというわけだ。
彼女たちを問題なく受け入れられるのは、絵柄や作品の魅力も当然加味されているが、人間に敵対していない友好的な存在だからだ。見た目は人型であるものの毒を吐き火を噴き体がゲルだったり翼が生えてたりしているが、外見と中身は別物なんだと教えられる。
モン娘を好きになるということは、ある意味で多様性を受け入れることと同義なのである。
ますます発展していくであろう人外作品を愛する人に幸せが訪れるますように。