読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

41. 『不安の種 *』5巻 人の傍に潜むは理解不能の恐怖

 ホラー映画を見た後の入浴時は誰しも背後を気にするだろう。部屋の片隅や半開きの扉の向こう側、真っ暗闇の廊下に深夜のチャイム音……

 

 普段気にも留めないすぐそこにある事象が全て得体のしれないものを含んでいるようで不安になってしまう

 

 

 この現象を視覚化した漫画がある。

 

 

 

不安の種* 5 (チャンピオンREDコミックス)

 

 中山昌亮先生の『不安の種 *』ホラーマンガの革新的存在『不安の種』シリーズの最新作である。過去には無印、+があった。

 

 

 主人公を持たないオムニバス形式の短編ホラー群で街中、自宅を中心とした一般の人々の実体験談という設定で描かれる物語だ。

 特徴として各話の最後に話の出来事がいつどこで起きたものかを記載している。たとえば「2001年 足立区」のように具体的な地名が登場するため、恐怖をよりリアルに感じる

 

 *でも基本的に過去作を踏襲した作りをしている。出てくる怪異・霊・何者かも異常な数の歯、歪んだ口や目、崩れた顔のものが多い。生理的に受け付けない人もいそうなほど強烈なビジュアルをしている。

 それらとシチュエーションが合わさって作品の恐怖の核になっているのだ。

 

 謎解きのような凝ったストーリーがあるわけではないのに怖い。理不尽な触れてはいけない者たちと不意の接触をしてしまった彼らが不幸に思える。

 しかし我々にその日が来ないと言えるだろうか? 明日、いや今夜寝る前にベッドの中で出会うかもしれない

 

 

 本作は5巻が最も新しく今後もまだ発売されるだろう。

 

 

 不安はまだまだ続きそうだ。