読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

68. 『おねぇちゃん日和』1, 2巻 真剣にふざける姉と仲良し妹の日々

 あなたは日常生活でボケることはあるだろうか?

 

 私は昔からツッコミだったのでボケるのは苦手だ。そもそも芸人でもない素人があからさまなボケをする人は――極たまにいるが、現実で堂々とやるのはお勧めしない。

 

 

 もしもやりたいなら、この漫画を読んで勉強するのはどうだろう。

 

 

 

おねぇちゃん日和 1 (MFC キューンシリーズ)

 

 ネリ夫先生の『おねぇちゃん日和』は高一のおねぇちゃん(表紙黒髪)とその妹(表紙橙髪)を中心に繰り広げられる日常シュール系ギャグマンガだ。

 

 安易にシュールと言うのは思考放棄かもしれないが、読んでみると確かにシュールな雰囲気をまとっている。

 

 姉はいつも表情一つだけで変わることなく、妹に対してボケにボケを重ねる。口調は姉妹揃って母親譲りの関西弁。漫画で関西弁キャラ同士の掛け合いを見る機会が少ない、と思う。このベタな関西弁がボケツッコミと相性が非常にいい。漫才といえば関西弁とは古いイメージかもしれないが、日本人にはなじみ深い方言なだけあってしっくりきて心地よい。

 

 姉は誰に対しても同じ態度、言動でどうやらそれは母親に似たようだ。ちなみに父はごく真面目な人物。妹は父親似なのだろう。

 毎日繰り広げられるおねぇちゃん劇場を相手して怒らない妹はすごいと思う。生まれた時から共に過ごし価値観が近い、姉妹ならではの関係性がナチュラルに描かれている。

 

 一つ気づいたのは、セリフに「!」がほぼないことだ。

 多くの漫画・ラノベでは「!!!!!」のような用途があるくらい頻繁に使われるものだ。驚きや大声を表す便利な表現だが安易に使い過ぎればキャラの心情の抑揚や機微が損なわれてしまうため使いどころには一考すべき表現だ。

 

 「!」を減らすことで漫画らしいボケツッコミが淡々としたリアリティある会話になってる

 (一部実話ものを除く)マンガに対して読者はフィクションであると理解して楽しんでいる。しかし、一定レベルの常識や表現のリアリティを求めてもいる。創作にも整合性を感じ取れなければ上手く世界観に入り込めない

 

 わかりやすく、かつ創作として違和感のない会話劇面白さの秘訣だと思った。

 

 

 日常系と同じくコメディも作者のセンスがあらゆる箇所に滲み出る。その分、何作読んでも飽きがこない。

 3巻を待ちながら次の漫画を手に取っていく。