74. 『ウィッチクラフトワークス EXTRA』1巻 2人の冒険とサブキャラ達の顛末
漫画が完結するとは一つの人生が終わることと同義だと思っている。
死闘の末に宿敵を倒しライバルと決着を着けヒロインと結ばれる。主人公は目標を達成して壮大な旅路が終わりを迎える。感動的な大団円のあとを読者が知ることはない。作者の空想の世界で彼らは余生を過ごすのみ。
しかし作品の中にはスピンオフや番外編や余談が続くことがあって、ファンは大いに喜ぶ。まだ読み足りないと感じていたあの続きを読める幸せは何事にも代えがたいのだ。
水薙竜先生の『ウィッチクラフトワークス EXTRA』は昨年堂々完結した『ウィッチクラフトワークス』のプラスα的続編だ。
”工房の魔女”が守る街に暮らす多華宮仄は高校で性別問わず人気者の火々里綾火とある日から突然、四六時中一緒に過ごすことになる。実は主人公には”とある存在”が封印されており、彼女はその力を狙った”塔の魔女”たちから彼を守るため傍につくのだった。
魔女と魔法が一般人に隠れて存在する現代を舞台にした笑いとシリアス入り混じる、魔法大乱闘ラブコメだ。
本作は因縁の敵を倒した本編のその後、特にサブキャラ達の回収されなかった伏線や余談を描いた内容になっている。なので読む場合は先に本編計17巻を読むべきだろう。
元々本作の魅力といえば、魔女同士のド派手なバトルや主人公とヒロインに隠された過去などの謎は当然ながら、ドタバタなコメディパートの充実さだと思っている。
皆に愛される(狙われている)心優しい主人公は彼女たちにいつも振り回される立場。彼を溺愛してやまない妹、息子のように思っている学園長、力を狙うはずがただの居候状態のケモ耳率いる塔の魔女たち……
問題ごとがこじれるのはだいたい妹のせい。あくまで本人は妹という立場にこだわりがあって恋愛感情じゃないと主張するが結婚を望んでいるという訳の分からない主張を繰り返す。フィクションならではの(いい意味での)イカレ具合が話にひねりと弾みを与えてくれる、非常にいいキャラだ。
それぞれ違うベクトルで頭のネジが外れた人(魔女)ばかり。緊張感あふれるシリアスなシーンから一転、彼女たちの気が抜ける展開が多いのは本作の特徴。そういう漫画が大好物な私は完結後に発表された『EXTRA』を楽しみにしていた。
期待以上に面白い。しかも2巻の発売も決定している。まだ続きが読めるとは有り難い限りだ。
本作は一度アニメ化されている。
一期はすでに9年前(!!?)、私はアニメ二期をなによりも待望している。この流れでお偉いさんが決定していくれないだろうか?