読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

85. 『あいうら』1~7巻完結 王道的女子高生日常群像劇

 資本主義の弊害というか人類の飽くなき欲望の産物というか。

 

 同類でありながら各社から製品化されても一定量売れるもの、という物が存在する。

 

 供給側は売れるから相似の新作を作る。需要側は同種かつ新鮮さを得たいので買う。

 

 この繰り返しはコスパがよく非常に効率が良い。バランスの取れた、まさに理想形。

 

 

 

 

あいうら(7) (角川コミックス・エース・エクストラ)

 

 茶麻先生の『あいうら』はネット連載から始まりアニメ化もされた作品だ。

 

 ハイテンションボケの天谷(表紙赤髪)、冷静ツッコミの岩沢(金髪)、真面目小柄の上原(ツインテール)を中心とした女子高校生(男子キャラもいる)青春日常もの。

 タイトルは「」まや・「」わさわ・「」えはら・「等=」の意。

 

 細かなあらすじ説明が不要なほど、わかりやすい日常コメディ

 

 日常ものでメイン3人は基本中の基本。馬鹿ツッコミ真面目のキャラも物語進行に必要不可欠であり、作者の都合で生まれているともいえる。

 

 絵柄は線の多くない画面でスッキリしており目に入れやすい。4コマ形式なのも分かりやすくて良い。

 ネタの内容も現実に則ったリアル志向。ファンタジー要素はなく、あくまでも高校生の学校生活や友人・教師・家族との徒然なる日々となっている。

 

 

 本作に足りない点があるとすれば、それは強烈な個性

 このブログでよく言っているように間違いなく作者のオリジナルであっても、キャラクター1人、世界観一つ、セリフ一言取ってもアイデンティティを蔑ろにしてしまえば面白さの威力が弱くなってしまう

 

 一応言っておくが本作がつまらないわけじゃない

 ただ、他のギャグ・コメディ作品と比べるとキャラとネタが弱く感じてしまう。

 

 しかし本作はその分を普遍性」で補っている

 個性を追求し奇をてらい我流を極めれば――コアなファンを獲得できる。

 が、顧客である大衆を切り捨てる行為にもなりかねない

 

 もし己の描きたい作品と同じであればその方が商業的に成功する。

 結果的に本作はニコニコ静画から商業誌連載、そしてアニメ化を経て7巻まで続いた

 

 

 寂しいのは作者の続編が刊行されていないこと。

 次回作を楽しみにしている。