9. 『ごくちゅう!』1, 2巻 愛らしい顔した受刑者達の日常
ムショで暮らしたい人はいない。
かと思いきやニュースを見ていると事件を起こした犯人が、
「刑務所に入りたかったからやった」
そんな供述をたまに耳にする。
理由は複数例あると思うが、おそらく多いのは衣食住に困らないからだろう。
たしかに刑務所内ならご飯は食べられるし服も支給される。雨風はしのげるし毎日ではないが風呂も入れる。生命の安全は保障されるのだ。危険な外の世界で暮らすより充実している、と感じる立場の人もいるだろう。
しかしその実態は? 受刑者はどんな毎日を過ごしているの?
わからないことだらけの獄中生活がわかる漫画がある。
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8. 『リバーシブルマン』1~3巻 超猟奇的死体とその謎を追う人々
わざとではないがホラーやグロい漫画が続いている。
色んなジャンルを読むタイプではあるけど、今はたまたまホラー系がマイブームになってるからこうなってしまった。
同じジャンルの色んな作品を読んで読み比べたい意識が働いてるのかもしれない。
というわけで今回はヤバい死に方をする漫画である。
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7. 『血潜り林檎と金魚鉢男』1~3巻 固有の世界観を上手くまとめた良作
人は協調性がなければ生きられない。たった一人で人間社会に生まれて死ぬまで独力で生活できる者は存在しない。誰しもが顔を合わせず名前も知らない他人の支えを借りて立っていられる。
その一方で周囲からずば抜けて個性豊かな個人に多くの一般人は惹かれるものだ。それは稀有な才能だったり思想や技術だったりもする。強烈な個性に憧憬をもちながら一般社会に適応しなければならない、ある種のジレンマを抱えているのだ。
創作においても、100%作者のやりたいことだけやっていてもまず成功しない。”大衆受け”は倦厭されがちだが商業には必要不可欠な要素である。
「自分のやりたいことは売れてからやればいい」と言われる。
しかし、多大な努力と育んできた固有のセンスを活かして、そんな忠告を飛び越えるクリエーターは少なからず存在する。
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4. 『カノジョも彼女』1~12巻 嫌味ない二股系ラブコメ
「食わず嫌いはやめなさい」
と言われたことは生まれて一度もない気がする。
しかし
「読まず嫌いはやめた方がいい」
と自分に言い聞かせるのはしょっちゅうだ。
あらすじを見ないで表紙買いするのはよくあるが、反対に表紙の絵柄がなんとなく好みじゃないと手が伸びないこともたまにある。わずかに見聞きしたあらすじだけで先の展開を勝手に予想し飽きてしまう、「これって〇〇と似てるね」と思い読まない……見聞を広め経験を積んで歳を取るごとにそうした拒否が増えていく。
様々な理由はあれど、結局中身を読んでみないことには真に面白味を判断はできない。否定と批判ばかりしていれば”本物”を見分けられないどころか脳が特定思想で凝り固まって、気づけば周囲に誰もいない寂しい人間になってしまう。
選り好みせず、まずは手に取る。全ての物事に通ずる一つの真理である。
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3. 『江戸川乱歩異人館』6~11巻 幻想怪奇の犯罪人共
前回“辛い悲しい物語を再読することは滅多にない”的なことを書いたが、気に入ったものやギャグ・コメディ系の漫画は何度も繰り返し読む。
昔は長編バトル漫画を第一話から何度も何度も読み返していたが、そんな読書体力はなくなってしまった。けれど、
「あ、なんかアレ読みたいな」
ふと思い立って本棚から取ってくることがある。
今回の漫画が中途半端な巻数からなのはそのためである。
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2. 『SUBURBAN HELL 郊外地獄』 現代社会に蔓延る鬱屈した想念
「ホラー漫画が好きです」
というと周りから少し「え?」という顔をされたりする。
気持ちはわかる。ホラー嫌いの人からすれば自ら恐怖を求めるなんてどうかしてる。
恐怖の感情は人間に備わった太古に獲得した本能の一つ。その多くが失われた中で残ったということは生存のため必要なものだったわけだ。
けど世の中そうそう外的存在によって生死を脅かされることはない。恐怖の感情は外敵に反応する代わりに刺激的な娯楽に用いられるようになった。お化け屋敷にドッキリ企画、ホラー映画も全て退屈な現世で得られない刺激を得るため……。
ホラーによる恐怖はそうした根源的な娯楽の一つだと思う。笑いよりも古い人々の楽しみ。広義には古代ローマのコロッセオで民衆が熱狂した剣闘士と猛獣の見世物に代表される人間の醜い欲望にも通ずる。幽霊・怪物・殺人鬼・サイコ・妖怪・都市伝説・エログロなどなど、創作物だからこそ心置きなく?楽しめるものがあるのだ。
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1. 『メイドインアビス』1~11巻 子ども達と未知なる大穴に魅了される
「気になるけど他にも買いたい本があるし、今すぐじゃなくてもいいか」
もしくは、
「詳細は知らないけど読み始めれば、絶対続きを読みたくなるから1巻も読まないぞ」
そう思って買ってない本が山ほどある。今回読んだのは後者だ。
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