読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

74. 『ウィッチクラフトワークス EXTRA』1巻 2人の冒険とサブキャラ達の顛末

 漫画が完結するとは一つの人生が終わることと同義だと思っている。

 

 死闘の末に宿敵を倒しライバルと決着を着けヒロインと結ばれる。主人公は目標を達成して壮大な旅路が終わりを迎える。感動的な大団円のあとを読者が知ることはない。作者の空想の世界で彼らは余生を過ごすのみ。

 

 

 しかし作品の中にはスピンオフや番外編や余談が続くことがあって、ファンは大いに喜ぶ。まだ読み足りないと感じていたあの続きを読める幸せは何事にも代えがたいのだ。

 

 

 

ウィッチクラフトワークス EXTRA(1) (アフタヌーンコミックス)

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73. 『アナモルフォシスの冥獣』 理外の作者のトリックに翻弄される

 デスゲームものが流行り出したのはいつだったかと考えれば、あくまで個人的な回想に過ぎないが『GANTZ』実写映画が公開された2011年前後じゃないかと思う。

 以降神さまの言うとおり(2011年3月号)リアルアカウント(2014年2月号)ハカイジュウ(2010年5月号)魔法少女・オブ・ジ・エンド(2012年7月号)、少しとんで約束のネバーランド(2016年35号)、漫画じゃないがダンガンロンパの第一作も2010年後半発売だ。

 

 いくつも挙げたがジャンルとして”デス”ゲームと括っていても死ぬとは限らない。定義は「何らかの理由により逃れられない空間・状況に追い込まれた人達の生存ドラマ」とすれば、たとえばカイジ』『ライアーゲームなどの頭脳系ギャンブルマンガも広義のデスゲームに入ると私は思っている。

 

 

 というわけで今回の作品は死が迫る真のデスゲームだ。

 

 

アナモルフォシスの冥獣

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72. 『ぬるめた』1~3巻 4人のJK(人造人間含む)が織りなすカオスコメディ

 人が繁殖を伴わずに人を作り出す試みは古くから行われてきた。

 

 カバラではゴーレム、中世後期の錬金術ではホムンクルスという人造生命の作成法が編み出された。残念ながら科学の発達によりその方法は否定されているが、一方で遺伝子工学、生命工学など各分野の進化で倫理的課題を無視できればクローン人間どころか0から人間を創るのも夢でなくなった。

 

 とはいえSFのような人と機械の利点を混ぜた有機アンドロイドはさすがに未来のままだろう。当分はまだ想像力には追い付けないだろう。

 

 

 

ぬるめた 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

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71. 『犬神博士』 高名な呪術師と邪悪な術師達の戦い

 犬神とは呪術の一種だ。

 

 一匹の犬を首まで地面に埋める。そしてギリギリ届かない位置に食事を置く。犬は飢えと渇きで必死に首を伸ばし続けてはそれらを満たせない苛立ちがやがて憎悪に変質する。数日間繰り返したのちに犬の首を刎ねると、その首は強力な呪物となり対象者を呪い殺すとされる。

 漫画や小説などで度々登場する、実在したおぞましい術。

 

 その名を冠する主人公の物語を読んでみた。

 

 

 

犬神博士

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70. 『ハイスコアガール』1~10巻完結 ゲームを通して交錯する不器用男女の想い

 高校時代、定期テストの最終日は解放感と時間的余裕もあって下校時にカラオケやゲームセンターへ行ったりしていた。

 

 私はケチなこともあって友人のプレイを後ろから見ていることが多かったが、時には大してほしくない景品を求めてクレーンゲームに湯水のごとくお金をつぎ込み、友人たちと白熱したこともあった。

 

 小学生の頃には母親の買い物でスーパーについていくたびに100円玉を貰って、ムシキングドラゴンボール』『NARUTOなどのデータカード筐体の前に並んでいた。

 

 青春を過ごした大人は多かれ少なかれゲームセンターの思い出があるのではないだろうか?

 

 

ハイスコアガール CONTINUE 1巻 ハイスコアガールCONTINUE (デジタル版ビッグガンガンコミックスSUPER)

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69. 『ご注文はうさぎですか?』1~9巻 愉快な店員に会える喫茶店と瀟洒で平和な街

 深夜アニメを見るようになって10年

 ここ数年は1クールにつき1~3本程度しか視聴していない。特に今季アニメは継続してるのは1本のみ。

 

 個人的に漫画や小説以上に新作アニメを見続けるのは体力を使う

 新しい情報を脳に入れることが疲れる感覚があり、気になっても後回しにしたりして観てない作品が山のように増えていく。

 

 共通するのは「面白い」と分かっているからこそわざわざ見なくてもいいかと考えてしまうこと。

 

 その代わり視聴済みの作品を繰り返し見てしまう癖がある。知っているからこそストレスなく目に入れられる。そういって無駄に時間を食いつぶしてしまう。

 

 人間は自分にとって都合いいことしか学習しないなとしみじみ思う。

 

 

ご注文はうさぎですか? 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

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68. 『おねぇちゃん日和』1, 2巻 真剣にふざける姉と仲良し妹の日々

 あなたは日常生活でボケることはあるだろうか?

 

 私は昔からツッコミだったのでボケるのは苦手だ。そもそも芸人でもない素人があからさまなボケをする人は――極たまにいるが、現実で堂々とやるのはお勧めしない。

 

 

 もしもやりたいなら、この漫画を読んで勉強するのはどうだろう。

 

 

 

おねぇちゃん日和 1 (MFC キューンシリーズ)

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67. 『僕は妖しいキミのもの』1巻 魔性の幼馴染に迫られ誘われ求愛される

 いきなりでアレだが、世界には数えきれないほど多くの性的嗜好がある。

 全ての事物に愛好者がいると思うほど人間の感性は多様性に満ちている。他の生物を考えるといささか奇妙なことだ。

 

 生物学の観点で繁殖だけを考慮すれば、人間の場合、雌雄の番が効率よく増えればそれでいいはずなのに実際はそう単純ではない。性別は大きな嗜好差があるが、それどころか他生物や無生物、架空物まで人は愛する

 

 子孫を残せなければ消えていく。他の生物ならそうだろう。

 人間だけは違う。高い想像力と共感力であらゆる多様性を内包したまま進化を続けられる。これが繁栄の一つの秘密だと思う。

 

 無駄に話を大きくしてしまったが、今回はブコメマンガだ。

 

 

僕は妖しいキミのもの(1) (コミックDAYSコミックス)

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66. 『〇本の住人』1~7巻完結 変な兄と真面目な妹の大切な物に囲まれた生活

 世の中にはミニマリストという人達がいる。

 

 身の回りの物をとにかく減らして最小限に抑えた暮らしを送る人をそう呼ぶが、私は逆に物に囲まれて生活している。整理整頓は割としているのでゴミはないがミニマリストから見ればさぞ息苦しい生活に思うだろう。

 

 物を集めるならきちんと飾るなり仕分けするなりで大事に保管しておきたい。ただし部屋の広さを超えて集めればもはや整理など不可能となってしまう。何事も限度は大切だ。ましてや家計を圧迫するなどあってはいけない。現実ならば

 

 

 

○本の住人 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

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65. 『夜な夜な夜な』1巻 腐敗極める警察に立ち向かうは正義の怪盗一座

 闇夜を駆け、私腹を肥やした悪党から金を奪い貧民にばら撒く。

 義賊といえば日本なら石川五右衛門、西洋なら創作だかアルセーヌ・ルパンが思い浮かぶ。

 

 怪盗は盗みを働くので当然犯罪者だ。現実にいればどんな人格者だろうと逮捕されて法で罰せられる。

 だがしかし、彼らが狙う相手が怪盗なんて比較にならない程の大悪党ならいかがだろう? 果たして罰を受けるべきなのはどちらなんだろうか?

 

 

 

夜な夜な夜な 1 (青騎士コミックス)

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