読んだら書くだけの存在

漫画や本を読んだ後の個人的感想の記録

19. 『丸井諒子作品集 竜のかわいい七つの子』 自然への敬意に幻想を組み込んだ考えさせられる物語

 短編集が続いているが、積んだままの長編作は一度読み出すと続きが気になって他事を後回しにしてしまうので読むこと自体を後回しにしてしまう。

 

 短編集なら一話完結で多様な話を読めるお得感もあって少し漫画を読みたいときに重宝する。

 

 というわけで今回も一押しの短編集だ。

 

 

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (HARTA COMIX)

続きを読む

18. 『JUKE BOX』 確かな画力で紡がれる胸熱展開満載の短編集

 CD文化が廃れつつある今はジャケ買いという言葉はすでに死語かもしれない。

 ただ「表紙買い」は今も広く使われている、と勝手に思っている。

 

 

 短編集をキーワードに何かいい作品がないか探しているとき出会ったのが本作である。

 

 

JUKE BOX 設楽清人作品集 (HARTA COMIX)

 

続きを読む

17. 『螺旋人同時上映 速水螺旋人短編集』 戦争+ファンタジーの短編漫画群

 短編集の魅力とはなんだろう。

 

 私は作者の個性と趣味嗜好がわかるもの点だと思う。一話ごとの繋がりを意識しなければいけない長編と比べて、作品のテーマ設定から自由度が高く好きなように描ける。

 

 特に初めて読む作者の時、短編集を手に取れば自分の好みと作者の好みが合うかがわかる気がする。

 

 

 

螺旋人同時上映 速水螺旋人短編集 (イブニングコミックス)

 

続きを読む

16. 『ショートショートショートさん』 どこかにいる大人女性の日々を描く

 現実世界を生きる我々は日々の疲れや退屈から逃げるように映画や漫画などフィクションの世界へ身を投じる。

 

 そうした簡易的な現実逃避は生きる力にもなる。

 

 けれど時に求めるのは剣と魔法とドラゴンな非現実ではなく超絶タイプな美形との大恋愛でもなく、過去現在のどこかにあっただろう日常なのはなぜだろうか。

 

 

ショートショートショートさん (ビームコミックス)

続きを読む

15. 『博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?』4巻 待望の新巻 かわいいキャラと福岡情報

 前回、漫画の刊行スピードについて触れたが、今回の作品はまさに待ちに待った新巻だった。

 

 前回が2019年7月。実に3年ぶりの新巻である。

 

 

博多弁の女の子はかわいいと思いませんか? 4 (チャンピオンREDコミックス)

続きを読む

14. 『ドキュンサーガ』4巻 約3巻分の回想が終わり物語は新たな展開へ

 週刊連載か月間連載か、はたまた不定期連載かによって単行本の発売スピードも比例する。

 早ければ3か月に一巻、遅ければ年一巻かそれ以上。

 

 楽しみにしていればしているほど、たとえ3か月でも待ちきれない。

 

 

ドキュンサーガ コミック 1-4巻セット

 

続きを読む

13.『クレイジーフードトラック』1~3巻完結 ハリウッド感溢れる近未来グルメ漫画

 漫画界には多種のジャンルが存在する。バトル、ラブコメ、ギャグ、スポーツ、ホラー、歴史……etc. 細分化すれば100はあるかもしれないが、昔から人気なものに”グルメ”がある。一般に知られる有名作・長編作も数多い。

 

 私は色々と読むほうだと自負しているのだが、実際は手に取る作品にかなり偏りがある。歴史・スポーツはほぼ読んでいない。グルメ漫画も少し前までそうだった。

 

 今はいくつか読んでいるが、その中でも最も最近読んだのが本作である。

 

 

 

クレイジーフードトラック 1巻: バンチコミックス

 

続きを読む

12.『悪い夢のそのさき...』 優しい筆致で描かれる闇の世界

 私がホラーの話を書く時、やはり恐怖までの到達時間を短くしたいと思ってつい1000字程度の短編ばかりを書いてしまう。

 

 しっかりと登場人物を深堀りしストーリーに伏線と謎を散りばめてオチであっと言わせる……そんな長編ホラーが王道だ。

 しかしホラーはいかに読者に恐怖や不安を感じさせるかこそ重要だと思う。長々と文章が続かなくても情景が分かり読者が語り手になれればちゃんと怖い。

 

 この短編集はまさにそんな内容である。

 

悪い夢のそのさき… (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

続きを読む

11. 『ちおちゃんの通学路』1~9巻完結 愛すべきバカ達の行動記録

 普通に生活していて人に面と向かって「バカ」と言うのは、このご時世において小学生ですら許されない。最低で叱責、最悪で炎上して社会的死、のちに裁判沙汰である。

 

 人を侮辱することは倫理的にも法的にもNG。そんなことはわかっている。

 

 だがしかし漫画のキャラにならいくら言ってもいいだろう。しかもコメディ漫画のキャラならなおのこと、むしろ誉め言葉である。

 

 

ちおちゃんの通学路 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

 

続きを読む

10. 『成程』 軽妙な言い回しで広がる日常の出来事

 私たちは果たして日常生活を楽しめているのだろうか。

 

 ありきたりで当たり前の事象しか起こらない、機械仕掛けの毎日に身を任せ情報の濁流に溺れて思考停止してるだけかもしれない。

 

 

 しかしどんな人も毎日を楽しめていた時代があったはずだ。

 全員とは言わないが子ども時代や学生の頃は少なからず日々に新鮮味があったのではないだろうか。

 

 

成程 (楽園コミックス)

続きを読む